ALTEC 416-8B 38cm
終活を考えなくてはならい年だがまだまだやる気あります。
コーネッタ by altecの完成をもってスピーカーの自作は終了と思っていましたが
欲は出るものです。
胡蝶蘭の部屋のシステムに比べるとやはり超低域不足。
ウーファー altec 414は超低域を考慮に入れずに低域~中域のレスポンスを良くしています。
以前にfostex CW-200Aを1本借用したことがあります。
十分追い込まなかったせいかも、
少し違和感があり、どうしてもサブウーファーを意識してそれ以上進めなかった。
他の250Aとかは試聴したこともありません。
興味が湧く事もなく今日に至りました。
2017年偶然 altec 416-8BがY’オクで目に留まりました。
ビスクロイドのタレが少しあるが状態の良い物、終了まじか、
興味半分で入札したら落札してしまいました。
使う当てもないのに落札してしまった!!
見た目が悪いと安くても手を出さないようだ。
以前は6万位はしただろうに半額、
大型のスピーカーは人気が下火になったのかな。
複雑な気持ちでした。
515Bの故障時の代役にでも…屋根裏行き…。
こうして在庫に。
この416-8Bの在庫を思い出し、これでサブウーファーができるか検討した。
サブウーファーの製作例にも416-8Bは無い。
大容量の箱が必要で、その用途のスピーカーではない。
416を引っ張り出して裸で鳴らしてみた。
中低音に隠れるがはっきりと超低域も出ている。
大音量は無理でも自分一人用なら使えるのではないか?
そう思った。
部屋が狭く置き場所に制限あり
奥行き30㎝以下、幅、高さ共50cm以下にしなければならない。
自動的にバッフルの寸法は450x450に決定されます。
42cmの外形を持つ416-8Bではぎりぎりの大きさ。
板厚を引くと50リットル以下となります。
やってみて416が使用できなければ他のユニットを買えばよい!
そう腹を括って制作をすることにしました。
スピーカーの特性を無視、箱の寸法が最優先だ。
板を探す
市内のホームセンターをはしご。
まず目に止まったのは赤松の集成材40x500x4000在庫限りで1枚3240円
破格であるが板厚が問題、これでは中身が無くなってしまう。
パインの集成材18x300が在庫豊富、他に無ければこれを使おう。
18x282x1800の単板が大量に積まれていたデッキ用かな。
18mmは板厚不足のようだがこの板を使用すると内寸は22㎝くらいになる。
45cmの箱に換算すると倍以上の板厚を使うことになる。
樹種はよくわからないがエゾ松?針葉樹だ。
木肌は白く節が多い、幾分柔らかい材質。
片っ端からひっくり返して見ると節の無いものが2枚ある。
それは茶色を帯びて 重く 固い、木の根元の赤身。
これは良いと飛びついた。
よく見ると反っている、板を水平部に沿わすと4mmも反っていた。
先の方が割れて欠損している(2枚とも)なるほどこれでは売れないだろう。
長さ方向は真っ直ぐで問題ない。
思案した、たかが18mmの厚み、何とかなるだろうと購入を決意、
2枚では不足するのであと1枚を探したが同じような良い板がなく
90㎝の中に1枚見つけた。
これで520が4枚、450が4枚取れる。
裁断後欠損部が少し残ったが足の部分で継ぎ足して修正する。
バッフル板はラワンのランバーコアー21mmに良い物があったので購入。
理由は、45mmの木ネジで止めるので積層板では剥離する可能性がある。
バッフルはいろいろ試作するので450x450 8枚に裁断。
ランバーコアー は内部に空洞があると聞いた事があるが心配は無用だ。
安価で軽いものは空洞があるのかもしれない。
この厚みから計算すると45リットル程度となる。
スピーカーユニットの穴はトリマがあるので簡単に加工できた。
組み立てをスムースに行うための桟を取り付ける。
べニアの断面、年輪部は瞬間接着剤をしみ込ませ経年劣化による剥離の防止、木材の呼吸を少なくする処理を行う。
組み立て接着
いよいよ接着です。
ハタガネが無いのでこのような治具(下写真)を作りました。
8x1000のネジを8本購入、がんじがらめに締め付け、
反りを取り除き、木ネジで止める。
素直な板なら何の問題もなくスムースに運ぶのだが板が反っているので
どのように位置合わせしたらよいのか良くわからない。
木工ボンドを付け、始めるがなかなか思うように行かない。
縦横に1mm程のずれが出来た、修正できない。
素直な板なら締め込んだネジを少し緩めてハンマーで軽くたたけば
簡単に修正が出来ますが反っているのでずれない。
モタモタしているうちにボンドが固くなってきた。
だいたい要領は掴めたので出直し。
分解してボンドを濡れタオルで丁寧に拭き取った。
ヘアードライヤーで濡れた板を乾かして再トライ。
裏蓋はボンドが付着しないようにビニールテープで保護します。
木ネジで強固に固定されているので、1時間程度ボンドが安定したら
取り外して他の1台を組み立てる。
2昼夜乾かして組み立て完了。
下地処理と塗装
木材の呼吸を止めないと膨張、収縮の繰り返しで
板が割れたりべニアが剥がれたりする。
これを防止するために目止め作業をする。
理想はボンドのE-205を全面にしみ込ませて固化させる。
高価で手持ちも無いので今回は水道用塩ビ管の接着剤を使用した。
刷毛で全面に塗布、吸収されて無くなる箇所は何度でも補給し
吸収が止まるまで補給する。
内面も処理する。
2台で1㎏使いました。
移動が楽に、アイボルト用の高ナットを埋め込みました。
3日程乾燥させて電動サンダーで仕上げをする。
この電動サンダーは超レア物、50年前に友人から譲渡された物、
総アルミで日立製、昭和20年代の製品です。
コードも硬くなっていない、昔の機械は良い材料を使用している。
いまでもちゃんと動きますよ。
下塗り1回上塗り2回、スプレー缶によるつや消し塗装。
スピーカーグリルの製作
この箱のように低位置にスピーカーユニットを設置するのは
椅子などを当てたりするのでグリルは必須です。
市販品を調べた、格好が良いがヤワなものが多い。
頑丈なものは高価であり、前に突出する。
邪魔になる。
何か良い方法は無いか、ハウス内で半端の金網を見つけた。
ドブ漬けメッキ付、2.3mm厚のエキスパンドメタルです。
これを切り取ってグリルの代用とする。
サランネットの取り付
前面の寸法に余裕が無いので取り外しの出来ない固定とした。
ハウスのビニール抑え用ステンレスレールが偶然ピッタリ合った。
寸法で切って止めてみた。
組格子みたいですね!
けりを入れても足が壊れます。
ステンレス地金ではなぜか安っぽく、ギターアンプのよう。
外して黒に塗装をする。
外側は完成、搬入
やはりアイボルトは便利、
腰を伸ばして無理なく持ち上げることが出来る。
安全であり安価に出来ます。
ユニットを付け、重たければ2人で運ぶことも楽です。
プロ機器に使用される「取って」では抱え込むので腰を痛める、2人での移動も窮屈。
416-8Bを取り付けてみた
仮取り付けの状態。
まだ吸音材は入れていない。
下部、側面に在庫の梳毛フエルトを入れる。
ユニットと箱の隙間が僅か、この小さな箱に押し込みました。
多分416-8B用として1番小さいのでは?
今まで取り付けられていた逆方向、天地逆に取り付け直した。
電線は2sqのVCT。
3種の裏蓋を用意
1 密閉用
予備の未加工の板があるのでそのまま使用。
多分不採用になるので塗装、吸音材などの加工はしなかった。
2 60x300の穴、圧力抜付
全面に穴を開けるスペースが全く無いので裏蓋に加工した。
サランネットを張り付け、モールで縁取り。
これもハウスの構成材。
吸音材は梳毛フェルト。
アイボルトは蓋の取り外しが楽になるように取り付けた。
3 60x300の圧抜きを横向きにして回り込みを少なくする作戦だ。
背面は板厚を多く取って奥行きが深くなるのはNG。
4mmの不織布を張ってみた。
音出しと測定
密閉用裏蓋をテスト
裏蓋は2本のビスで固定した仮止めの状態。
発振器はリーダーLAG-120A、ミリボルト計はLMV-181Aです。
骨董計器、時々引っ張り出してみるがいつも機嫌よく動いている。
数値はスピーカー端子で測定(mv)
インピーダンスの変化で性格が推定されます。
20hz 180
25hz 220
30hz 340
40hz 340
50hz 180
60hz 120
70hz 120
80hz 120
90hz 120
100hz 180
インピーダンスの変化は素直です。
裏蓋自体が本体とは別個に振動しているようだ。
完全密閉にすると数値は確実に変化、
全く別物になる可能性があります。
発振器の音だけ確認、箱の振動大、
低レベルでは 何とか 再生可能です。
採用する気が無いのでこれ以上のテストは行わず。
後面開放で測定
何も取りつけない箱での測定。
20hz 540
25hz 950
30hz 700
40hz 340
50hz 200
60hz 170
70hz 150
80hz 120
90hz 110
100hz 110
416-8Bの裸特性に近いと思います、
40hzはスピーカー直前1mではっきり聞こえるが2m離れると聞こえない。
2の裏蓋を測定
20hz 300
25hz 300
30hz 230
40hz 210
50hz 160
60hz 130
70hz 120
80hz 110
90hz 110
100hz 110
f0の盛り上がりが無くなりました。
ホーンロードが掛かっているような特性。
スピーカー直前では裏蓋無しで開放されている方が40HZが大きく聞こえた。
2mも離れるとこちらの方が大きく聞こえる。
3の裏蓋を測定
20hz 470
25hz 540
30hz 320
40HZ 200
50hz 200
60hz 140
70hz 140
80hz 120
90hz 110
100hz 110
特性的に後面開放に近い特性になりました。
40HZの音も聞こえます。
試聴
まず解放から
アンプは有給中のラックスの出力30Wx2 (DC仕様)
フィルターは自作50hz以上カット、18db/oct
部屋はデッドで低音のこもりは殆んど無い。
後面開放は回り込みのため聞く位置により感じ方が異なる。
2の裏蓋
良い!
今まで縁が無かった超低域がはっきりと聞こえる。
CW-200Aの時感じた違和感が全く無い。
余裕しゃくしゃく、CW-200Aの20㎝1個と38㎝2個との差は歴然、
比較するのが間違い。
裏蓋は真四角で随意に位置を替えられる。
開口部を横位置にしてみた。
床面の影響を避け、横のメインスピーカーの後部に
音の回り込みを期待した、あまり効果は無かった。
超低域は方向性が無いようだ。
箱に手を当てると大きな音の時、箱が少し振動する。
その時の音も詰まったように聞こえなくもない、気のせいか?。
3の裏蓋
これは微妙。
かなり手を加えた。
アイデア満載と思っていたが期待外れ。
音の性質は後面開放に近い。
使えないことは無いが2の裏蓋の方が良い。
裏面に出っ張るのも良くない。
箱の振動は皆無。
不織布の部分に梳毛フェルトを押し付けてみた。
聴感上2の裏蓋のようになった。
開口部の寸法はほぼ同じなのでその差は不織布の音漏れと考えられる。
”2”をリファレンスに決定。
これを使用しながら他に方法は無いか探る。
サブウーファーの真上で聞くと前面より後面の音の方が大きい。
前面は解放されているのに対し後面は開口部の音が壁で反射して
いる。
この反射音を少なくすることは出来ないか?
密閉では使用できない….。
不織布で減衰させることはできないか?
3の裏蓋を分解、フランジ部を残して切り取り、後面開放の状態にする。
裏板を挟んで内部と外部に不織布を張り付ける。
試聴を繰り返しながら厚みを増やした。
最終的に内部に2mmと4mmを重ね、外部に8mmを用いたものが良かった。
これ以上厚みを増やすと密閉箱になる。
他に
板の切取り部分に不織布断片、アコーデオン風に折り曲げた物、和紙の球など
詰め込み、テストしたがあまり効果が無かった。
不織布の種類も多いが使用したのは全て再生品です。
バージン素材のポリエステル100パーセントは軽くてこの用途には向かない。
表面が凸凹で赤や黄色、青の破砕毛織繊維が多く混紡されている。
同じ厚みでも重い。
8mmの物は思い切り息を吹き込んでもほとんど通さない。
全て車両の防音用途らしい。
altec288-16Gのキャップ内にも同じものが吸音材として使用されていた。
なぜいろいろの不織布を持っているか不思議でしょう?
私は胡蝶蘭を糧として栽培しています。
その特殊肥料の緩衝材としていろいろの不織布の破材が詰め込まれ、
覆い、パレットの下敷きとして来園した。
未使用だがゴミ、悪い性格で捨てきれないで貯め込んだ物です。
サブウーファーの真上で聞いて
前面の方が音が大きく聞こえるようになった。
試聴結果はとても良い、定位置で聞く、音が澄んでいる。
箱の振動もほとんど無い。
これはアンプ台としても使用できる。
これに決定した。
最終的な特性
20hz 160 160
25hz 220 180
30hz 400 240(35hz 280)
40HZ 200 210
50hz 120 140
60hz 120 120
70hz 120 130
80hz 140 150
90hz 170 180
100hz 180 200
120hz 180 200
150hz 140 160
左は2本のネジによる一連の仮止め状態、右は8本による本締付
30hz前後が締付に大きく影響しています。
電気的特性は密閉によく似ています。
100hz前後で若干盛り上がりがあるが箱の個性と思われる。
締付による音質差は私の駄耳では感じませんでした。
音質は伸び伸びしていて圧迫感は無い。
箱の振動も不織布が吸収している。
この箱の形式は?半開放?
いやいや電気的特性、試聴から密閉に近い、近密閉箱?
いつもボーカルが入ったものを主として聞いています。
アンプ出力電圧は0.1V 0.08W程度、低音がたっぷりの音楽で0.2V 0.32W、
実際の入力はは倍ぐらいとしても1.28W
多少我慢すれば6N6Pミニワッターでも使用できるかな。
胡蝶蘭の部屋の「ぺるけ式6N6P平衡PP」でも試聴したいと思います。
大砲の音などDVDの特殊な効果音は対象にいれていません。
(○○.1chとか無知で分からない)
テレビ放映映画は低音がある程度カットされているのか余裕で再生します。
この時のピークは5W位、振動のよう。
10Wもあれば十分、カーオーディオは150Wでは力不足、
300Wならまあまあ、800Wなら完璧とか?
本当の所はよくわからないです。
416-8Bを僅か45リットルの近密閉箱に詰め込んだが
なんとか期待通りになりました。
ただし他流試合になれば話は違います。
CW-200Aに負ける可能性があります。
肌で音を感じるような大音量では不織布による密閉は
破綻する可能性があります。
(必要無いので実験していない)
私のアンプはWE-349Aの3結シングルで1wモノラルx2、
これでコーネッタを駆動しています。
静かに音楽を楽しむには強力な助っ人と思います。
頼りない表現になりました、現状の装置で目一杯音量を上げても
違和感は無い。
30㎝の低音補強には38㎝の口径が必要なのかもしれない。
416-8Bの軽快な音質(超低音だけではない)がメインスピーカーと
よくマッチしているのも大きな要因。
音質面ではふっくらと円やかさが増し、とても良くなりました。
BGMとしても気分がよいです。
映画以外では迫力が増した感じはありません。
コストもCW-200A(D)1台分に収まりました。
箱の振動が無いのでアンプ台になりました。
必要ないと思うが、念のため防振台を作り乗せた。
アイボルトにワイヤーを絡め、転落防止を図っています。
フィルターについて
当初メインアンプ前に既製品チャンネルデバイダーを使用。
試作でメインアンプ出力にLCネットワークで50hz以下を
取り出してサブウーファー入力とした。
この方が中域がくっきりと低音も力が増した。